下呂の湯は、滑らかで肌を包み込むようなアルカリ性単純温泉だ。湯上がりに火照った体へ流し込むラムネの炭酸水は、喉を鋭く潤し、心地よい爽快感をもたらす。飛騨川の河原から吹き抜ける夕暮れの涼風とともに瓶を傾ける瞬間こそ、下呂温泉を訪れた旅人だけに許された特権だろう。
透明なガラス越しに揺れる気泡を眺めていると、百年以上前にこの地を訪れた文人たちも同じように湯の街の情緒を愛でていたのではないかと思いを馳せたくなる。歴史ある名湯の風格と、どこか懐かしい清涼飲料水。対極にあるようで深く結びついた二つの要素が、訪れる者の琴線に触れる。