慶應義塾大学病院の無菌病室で開始された治療は、想像を絶する過酷なものでした。白血病細胞を徹底的に叩くための多剤併用化学療法により、激しい抗がん剤の副作用が彼女を襲います。
連日のように続く40度近い高熱、激しい吐き気、口内炎による激痛。そして何よりも、美しく豊かな黒髪が抜け落ちていく現実は、20代の若き女性にとって筆舌に尽くしがたい苦痛でした。それでも夏目さんは、見舞いに訪れる家族や関係者に決して弱音を吐かず、バンダナやニット帽をかぶりながら笑顔で気丈に振る舞い続けました。
「必ず治して、また舞台に戻る」という強い信念のもと、過酷な投薬と無菌室での孤独な闘いに耐え抜いた結果、夏目さんの体内から白血病細胞は見かけ上消失し、医学的な完全寛解を達成。退院と復帰への希望が現実味を帯び始めていました。