自らの生還劇を単なる美談で終わらせない。それが向井亜紀の揺るぎない信念だった。彼女は公益財団法人日本対がん協会の活動をはじめ、全国各地での講演活動に奔走するようになる。
「子宮頸がんは予防できるがんであり、早期発見が生死を分ける」。自らの痛切な経験を語るその声には、誰にも同じ苦しみを味わってほしくないという強い祈りが込められている。検診の受診率向上やHPVワクチンの重要性を訴え続ける彼女の言葉は、専門医の解説以上に多くの人々の心を動かした。
自らの傷口を開いて見せるような啓発活動は決して容易ではない。それでもマイクを握り続けるのは、あの日病室で誓った「生かされた命を誰かのために使う」という覚悟があるからだ。