日本を離れて以来、最大の関心事であり続けているのが彼女のキャリアだ。とりわけ世界最高峰の美の殿堂であるメトロポリタン美術館(MET)との関わりは、単なるボランティアの枠を超えた広がりを見せている。大学および大学院で美術史と博物館学を専攻した専門知識を活かし、日本美術コレクションの調査や解説文の執筆、さらには沖縄の染織物や仏教美術に関する展示リサーチに深く携わってきた経緯がある。
フルタイムの正規キュレーターとして雇用される形ではなく、外部のアドバイザーやプロジェクト単位のリサーチャーという柔軟な立ち位置を選択している点に、周囲への配慮と本人の知恵が滲む。美術館関係者の間では「展示品の文脈を正確に読み解く知識と真摯な作業姿勢は折り紙付き」と評価が高く、学術的なコミュニティの中で一目置かれる存在になりつつある。喧騒から身を守るため、日々の通勤ルートや美術館内での立ち回りには細心の注意が払われているものの、館内のアーカイブや研究室で資料と向き合う時間は、彼女にとって何物にも代えがたい探求の場となっているようだ。