自らの睡眠状態を主観の推測から客観的なバイオマーカーへと昇華させたのが、急速な発展を遂げるスリープテック(SleepTech産業)だ。かつては専門の検査入院が必要だった終夜睡眠ポリグラフ検査に近いデータが、今や指先や手首の小型デバイスで日常的に収集できるようになっている。
UCバークレーの著名な神経科学者マシュー・ウォーカー氏が提唱するように、自身の睡眠アーキテクチャを正確に把握することは行動変容の第一歩だ。Oura Platform(Oura Ring)やApple HealthKitといった生体センシング技術は、心拍変動(HRV)の乱れ、皮膚温度の推移、血中酸素濃度の微細な揺らぎを高精度に捉え、本人が気づいていない夜間の覚醒や深睡眠不足を鮮明なスコアとして描き出す。データで弱点を特定できれば、無駄なサプリメントや誤った寝具選びに惑わされることなく、最短距離で睡眠の改善に着手できる。