銀幕における放射線の恐怖描写は、冷戦期の核実験ラッシュとともに開花した。1954年に特撮監督の本多猪四郎が生み出した金字塔『ゴジラ』は、水爆実験の影響で太古の巨大生物が目覚めるというプロットで世界に衝撃を与えた。この時期の映画界は、放射線が持つ未知の力に対する人類の根源的な恐れを、巨大化や肉体の異形化という目に見えるメタファーへと変換していったのである。
時代が下るにつれ、描かれ方はより陰惨な方向へと傾斜する。80年代から2000年代にかけて確立されたSFホラーのジャンルでは、突発的な遺伝子変異によって生まれた怪物が人間を襲うシナリオが定番化。荒廃した未来を描くディストピア作品においても、汚染された荒野に生きる変異種たちの描写は、文明崩壊の残酷さを強調する最高度の小道具として消費され続けてきた。