現在の社殿群の偉容を決定づけたのは、江戸幕府の基礎を固めた三代将軍・徳川家光である。寛永11年(1634年)の造営により、現存する本殿をはじめとする十棟の建造物が国宝に指定されている。内外を彩る極彩色の彫刻群には、名工・左甚五郎作と伝わる「目貫きの猿」をはじめ、桃山様式の華麗さと江戸初期の洗練された技巧が隅々にまで凝縮されている。
これらの貴重な文化財を後世へと継承するため、文化庁や保存技術者たちによる丹念な維持管理と修復事業が継続されてきた。単に古びた木材を保存するだけでなく、伝統的な漆塗り工法や天然顔料を用いた彩色復元技術を忠実に適用することで、四百年前の壮美な姿が鮮やかに蘇る。
日光東照宮とも双璧をなす江戸初期の建築美は、権力者が神仏に捧げた祈りの深さを雄弁に物語る。木組みの曲線から軒下の装飾に至るまで、細部をじっくりと観察するほどに当時の工匠たちの息遣いが鮮烈に伝わってくる。