卓越した焼肉・肉料理とは、単に上質な肉を網に乗せて焼くことではない。肉の厚み、水分量、サシの入り方、さらには当日の気温や湿度に合わせて、ミリ単位で施される隠し包丁。これによって、硬いスジを感じさせることなく、肉本来の繊維が心地よく解ける食感が生まれる。
炭火の熾火(おきび)の遠赤外線を利用し、表面を香ばしくキャラメリゼしながら内部へじんわりと均一に熱を届ける技術は、まさに職人の経験と感覚の賜物だ。強火で一気に焼き上げる部位、じっくりと休ませながら肉汁を閉じ込める部位。計算し尽くされた火入れを経て供される一切れは、焼肉というジャンルを超越し、ひとつの独立したメインディッシュとしての威厳を放っている。