「打った後に痛みが悪化して歩けなくなった」というネット上の口コミを目にして、治療をためらう方は少なくありません。しかし、臨床現場の追跡データによると、注射後の痛みの多くは想定内の生体反応であり、重篤な後遺症に至るケースはごく稀です。
一般的な経過観察において、注射後の鈍痛や張り感が続く期間は半日〜48時間(2日間)程度が標準的です。体内に注入されたヒアルロン酸が関節液と馴染み、内圧が均等に分散されるにつれて、痛みは自然に引いていきます。この間に見られる軽度の熱感や違和感は、生体が異物(外部からの補給物)に適応する過程で生じる一時的な反応と判断されます。
ただし、注意すべき副作用として「アレルギー性の急性関節炎(偽痛風様発作)」や「感染症(化膿性関節炎)」が存在します。医薬品添付文書および臨床調査データに基づく発生頻度と危険シグナルは以下の通りです。
- 一過性の疼痛・腫脹(発生率 約1〜3%):注入後数時間で出現し、冷湿布や安静で48時間以内に軽快する。
- 薬液に対する過敏反応(発生率 0.1%未満):投与部位の強い発赤、熱感、関節全体の著しい腫れ。
- 化膿性関節炎(発生率 数万回に1回以下):針穴からの細菌侵入による重篤な感染。3日以上続く激痛、38度以上の発熱、関節が熱を持って赤くパンパンに腫れ上がる症状が特徴。
SNSやQ&Aサイトで「ヒアルロン酸を打ったら悪化した」と訴える投稿の多くは、元々関節内に強い水(関節水腫)が溜まった状態で注射を受けたことによる内圧過多、あるいは注射当日に無理な歩行や飲酒を行って炎症を増幅させたケースが多数を占めています。万が一、痛みが3日以上増悪し続ける場合や発熱を伴う場合は、自己判断で放置せず直ちに処置を受けた医療機関へ連絡してください。