浅田美代子という表現者を語るうえで、樹木希林(当時は悠木千帆)の存在を抜きに語ることはできない。『時間ですよ』での共演を皮切りに、続く大ヒット作『寺内貫太郎一家』でも息の合った掛け合いを披露。二人の絆は仕事の枠を軽々と飛び越え、生涯にわたる深い師弟関係、あるいは血のつながらない母娘のような結びつきへと発展していった。
生前、樹木希林は浅田の天真爛漫な人柄を深く愛し、同時に芸能界で生き抜くための知恵と覚悟を授け続けた。台詞を器用にこなすことよりも、ひとりの人間として嘘をつかずにカメラの前に立つこと。『寺内貫太郎一家』の混沌とした現場で鍛え上げられた演技の勘は、後年の彼女を唯一無二のバイプレイヤーへと押し上げる強固な礎となった。