1970年代の日本の音楽シーンにおいて、フォークソングは若者の胸の内にひそむ繊細な感情をすくい取る言語だった。中でもフォークグループのかぐや姫の作品として世に出た「なごり雪」は、作詞・作曲を手掛けた伊勢正三の瑞々しい詩情が結晶化した屈指の名曲である。
その後、シンガーソングライターのイルカがカバーしたことで爆発的なヒットを記録し、今や誰もが口ずさめる昭和歌謡の代表格となった。早春の駅のホーム、落ちる雪、過ぎ去る時間。研ぎ澄まされた描写があるからこそ、その世界観をあえて崩すコミックソングの対象としても強烈な存在感を解き放つ。