伊勢崎の肉グルメを巡る言説の中には、現地を知らない者が流布した誤った認識も散見されます。代表的な誤解が「地方の焼肉店だからどこでも上州牛が安く食べられる」という思い込みです。
実態として、群馬県内であってもすべての店舗が上州牛を提供しているわけではありません。低価格を前面に押し出すチェーン店では輸入牛や交雑種が主流であり、本物の「上州牛」「上州和牛」を名乗るには指定生産農家から出荷され、群馬県食肉卸売市場で公認格付された個体である必要があります。店頭やメニューに「上州牛取扱指定店」の認定看板やトレーサビリティ個体識別番号が明記されているかを確認することが、後悔しないための防衛策です。
また、「肉の街といえば豚ホルモンだけであり、牛ステーキは期待できない」という言説も明確な誤りです。かつて繊維産業で栄え、現在は自動車・金属関連企業が集う伊勢崎には、長年にわたり職人や企業幹部の舌を満足させてきた本格鉄板焼き店や老舗ステーキハウスが息づいています。厚さ3cmを超える極厚リブロースを炭火でじっくり火入れする職人技は、都心の高級店と比べても何ら遜色ありません。