「何もしないでいれば、資産も気力もインフレの波に呑み込まれて消えてしまう」。都内で暮らす元メーカー勤務の男性(73)は、机の上に広げた資産管理ノートを前にそう言い切った。
今回の独自取材で浮き彫りになったのは、守り一辺倒から「賢明な自己防衛」へと舵を切った生々しい実情だ。退職金と貯蓄をただ銀行に預け入れる時代は終わった。預貯金の一部を手堅い国債や分散型の投資信託へ振り向けつつ、日常の固定費はスマートフォンの格安SIMやポイント還元を駆使して極限までシェイプアップする。切り詰めるためではない。自分が本当に価値を感じる体験へ、惜しみなくリソースを投じるための戦略的な資産防衛だ。
健康面でも意識改革が進む。定期的な健診結果をウェアラブル端末で数値化し、日々の歩数や睡眠スコアを管理する。病気になってから医療費を払うより、予防に小遣いを使うほうが圧倒的に合理的だという判断が、彼らの行動原理として定着している。