80年代から90年代にかけてのバブル景気とアウトロー像を語るうえで、イタリアンモードの台頭を無視することはできない。当時、映画業界や現実の社会現象としても象徴的だったのが、ジョルジオ・アルマーニやジャンニ・ヴェルサーチの存在だ。ゆったりとしたショルダーラインとドレープが特徴的なアルマーニの流麗なスーツ、そして艶やかで大胆なプリントや力強いシルエットを誇るヴェルサーチは、スクリーン上の極道たちに圧倒的な華をもたらした。
山口組をはじめとする現実の社会組織の歴史的背景や当時のルポルタージュにおいても、これら海外ハイブランドの着用は権力の誇示と直結していた。映画制作の現場はこの実状を巧みに取り入れ、衣装によって組織内の階級やキャラクターの性格を即座に観客へ理解させる演出手法を確立していった。