世界的な大ヒットを記録したアニメーション映画『THE FIRST SLAM DUNK』のムーブメントを経て、作品を囲む熱気は衰えるどころか、新たなフェーズへと突入した。配信や特別上映を通じて作品に触れたZ世代やα世代にとって、1990年代の空気感をまとった湘北高校14番は、古臭い過去のキャラクターなどではない。どこまでも人間臭く、葛藤を剥き出しにして戦う「今を生きるヒーロー」なのだ。
SNS上では連日、彼のプレイスタイルや発言に関する議論が交わされている。完璧な能力を持つライバルたちの中で、彼だけが異質な「陰と陽」を併せ持つ。過去の過ちを消し去ることはできない。だが、過ちを背負ったままコートに立ち続ける。その姿勢が、効率や最適化が求められがちな2020年代半ばの価値観において、泥臭く泥にまみれる価値を再認識させている。