井上雄彦監督がインタビューや公式ビジュアルブック『THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE』などで一貫して語っていたのは、「生身の高校生がそこにいる感覚」の追求です。
1990年代に放送された旧アニメ版は、少年漫画らしい外連味(けれんみ)やコミカルなギャグ表現、分かりやすい熱血描写が大きな魅力でした。しかし今回の映画では、3DCG技術と手描きアニメーションの融合により、コート上の摩擦音、荒い呼吸、筋肉の軋みといった徹底的なリアリズムがスクリーンに描き出されています。
この映像表現に合わせるため、演技プランにも「誇張されたアニメ声」ではなく、無骨で飾り気のない10代の男子高校生の肉声が求められました。キャラクターの固定観念を一度ゼロに戻し、湘北メンバーが実際にコートに立っているかのような臨場感を作り出すことこそが、井上監督がキャスト刷新を決断した真の意図でした。