今回のリメイクの土台となっているのは、1960年に東宝が世に送り出した変身人間シリーズの傑作『ガス人間第一号東宝』です。本多猪四郎監督、円谷英二特技監督という特撮映画の巨匠コンビが手掛けた本作は、単なるモンスターパニックではなく、極限の愛と狂気を描いたフィルムノワールとして映画史にその名を刻んでいます。
物語の根底にあるのは、悲哀に満ちた男の献身です。生体実験の事故によって身体を気体化できる特異体質となった男・水野(土屋嘉男)は、世間から見捨てられた孤独な存在でした。彼が唯一心を捧げたのが、没落した名門の日本舞踊家・藤千代(八千草薫)です。水野はガス化能力を悪用して銀行強盗を繰り返し、強奪した大金をすべて藤千代の舞踊公演の資金として貢ぎ続けます。観客に強烈な印象を残すガス人間あらすじネタバレの核心は、自らの犯罪が暴かれ包囲された水野が、最後まで藤千代への執着を捨てず、彼女のリサイタル会場で迎える凄絶な破滅劇にあります。
この昭和の伝説的作品を現代に蘇らせるのが、片山慎三監督ガス人間プロジェクトです。映画『さがす』やディズニープラス『ガンニバル』で人間の生々しい狂気と社会的暗部を抉り出した片山監督と、『新感染 ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホ監督がタッグを結成。韓国と日本のトップクリエイターが共闘する形で、現代社会の格差、孤独、承認欲求を投影した全く新しいダークサスペンスとして再構成されています。