プライベートで自宅で食べる際は自由でも、「お茶会や格式ある食事の席で出されたとき、どちらが失礼にあたらないのか」と不安になるビジネスパーソンや大人の読者は少なくありません。茶道や日本料理の礼法における正式な作法を押さえておきましょう。
茶道の世界においても、桜餅の葉を食べるか残すかは亭主(もてなす側)や流派によって許容されており、残したからといって決して失礼には当たりません。大切なのは「どのように美しく食べるか」という所作にあります。
もし葉を剥がして残す場合は、手で無造作にちぎったり散らかしたりせず、添えられている菓子楊枝(黒文字)を使って丁寧に生地から葉を外します。外した葉は懐紙の端、あるいは小皿の隅に小さく二つ折りに畳んでまとめ、見た目を清潔に保つのが上級者のマナーです。
一方で葉ごと食べる場合は、菓子楊枝で一口大に切り分けて口に運びます。道明寺は弾力があるため、楊枝で無理に引っ張ると形が崩れがちですが、葉の筋に対して直角に刃先を落とすように切ると、断面が美しく保てます。同席者や主催者の前で「どちらが正しいか」を議論する野暮を避け、提供された器の上を綺麗に保つ心配りこそが、和の真髄といえます。