だが、プレスリリースに書かれた「勇退」をそのまま鵜呑みにするのは危険だ。広報戦略として、事実上の引責辞任や追放を「勇退」と取り繕うケースが後を絶たないからだ。ジャーナリズムの現場では、これを「偽装勇退」と呼ぶ。
見極めのポイントは3つある。第一に、後任人事の決定プロセスだ。十分な育成期間を経た内部昇格か、それとも急ごしらえのピンチヒッターか。第二に、株主総会や業績発表の直後というタイミング。不祥事の発覚や業績悪化と引退の発表が重なっている場合、そこには間違いなく外圧が働いている。そして第三に、退任後のポジションだ。相談役や顧問として残るのか、完全に身を引くのか。真の勇退であれば、未練なく権力を手放す潔さがある。