油屋とは?歴史の真相から千と千尋のモデル旅館・裏設定まで徹底解剖とは一体何なのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。

『千と千尋の神隠し』を観た観客が真っ先に抱く疑問が、「お風呂屋なのに、なぜ看板に『油屋』と大書されているのか」という点です。魔女である湯婆婆(ゆばーば)が経営する湯屋が油屋と名付けられている背景には、複数の説と重層的な意味が込められています。

ひとつは、「神々の油汚れ(穢れ)を洗い落とす場所」という神道的な解釈です。劇中で描かれる「オクサレ様」がヘドロや人間の捨てたゴミで汚れきっていたように、現世で人間に汚された神々が、脂や油にまみれた垢を熱湯と薬湯で落として本来の清浄な姿へと還る場所だからこそ、油を落とす館=油屋と名付けられたという見方です。

もうひとつは、日本語の慣用句である「油を売る」に由来する風刺です。仕事の途中で無駄話をしてサボることを意味する言葉ですが、神々が日々の神務から離れて骨休めをし、羽目を外してくつろぐ歓楽街のような場であることを皮肉交じりに表現したとも解釈できます。