映画監督や劇作家が口を揃えて賞賛するのは、岡田将生が持つ「余白の美学」です。181cmの長身と端整な顔立ちは一見すると強い存在感を放ちますが、カメラの前に立つと自らのエゴを完全に消し去り、物語のトーンに自らを染め上げることができます。
特に濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』で見せた演技は、映画界に強烈な衝撃を与えました。後部座席で西島秀俊演じる主人公に向かって語りかける数分間に及ぶ独白シーンでは、衝動性と知性、罪悪感と自己顕示欲が入り混じった複雑な人間の内面を、わずかな視線の揺らぎと声のトーンの変化だけで表現してみせました。このシーンについて海外の有力映画評でも「息を呑む緊張感を生み出した怪演」と絶賛されています。
また、NHK連続テレビ小説『虎に翼』における星航一役では、過去のトラウマを抱えながらも主人公・寅子を静かに見守る包容力と、時折見せるユーモラスな表情が「航一さん沼」と呼ばれる大ブームを巻き起こしました。感情を声高に叫ぶのではなく、沈黙や目線の配り方で語る繊細なアプローチこそが、現在の岡田将生が誇る最大の武器となっています。