TBSラジオで長年にわたり愛された『全国こども電話相談室』。無着成恭の存在は、間違いなくこの番組の魂だった。電話越しに投げかけられる「なぜ勉強しなきゃいけないの?」「大人はどうして嘘をつくの?」という子どもたちの切実な問い。それらに対して、彼は上から目線の説教を垂れることも、子ども扱いして誤魔化すこともなかった。
「嫌なら無理にやらなくていい。ただし、やらなかったことで起きる結果は、全部自分で引き受けろ」。無着の回答は時に突き放すように辛口でありながら、その根底には子どもを一人の独立した人間として尊重する真摯な愛があった。大人が用意した模範解答を嫌い、現場の生の言葉で答える姿勢。それは、責任を曖昧にしがちな大人たちに対する強烈な警告でもあった。