昭和のテレビ史を振り返る際、必ずと言ってよいほど名前が挙がるのが『クレクレタコラ』です。1973年10月から1974年9月にかけて、フジテレビ系列の平日および土曜の夕方19時26分から19時30分という枠で、全260話が帯番組として放送されました。
本作の基本プロットは極めてシンプルです。森に住むタコの怪獣「タコラ」が、木の上の展望台から望遠鏡で周囲を監視し、仲間の怪獣たちが持っている魅力的なアイテムを見つけると「クレ!クレ!」と叫びながら強奪を企てるというもの。道徳的な説教や勧善懲悪といった要素は一切排除され、タコラの飽くなき物欲と、それを阻止しようとする周囲との壮絶な騙し合い、暴力、そして時に共倒れになる不条理劇が繰り広げられます。
特に視聴者を驚愕させたのが、クレクレタコラ 主題歌 歌詞の直接的なメッセージ性です。歌手・石川進氏が歌い上げる「これ欲しい、あれ欲しい、全部欲しい」「タコラはタコでもタコじゃない、欲しいものはみんなタコのもの」というストレートすぎる物欲の賛歌は、当時の高度経済成長期を経て大量消費社会へと突入していた日本の世相を痛烈にアイロナイズしたものでした。