六本木や東京タワーからほど近い港区東麻布の路地に佇んでいた「アルファイン」は、1979年に開業しました。看板には控えめなロゴが掲げられていただけでしたが、扉を一歩くぐると、そこには外部の日常とは完全に隔絶された異次元の空間が広がっていました。
館内には、本格的な緊縛用フックや拘束台、巨大な鉄檻、診察室を模したプレイ設備、ダンジョン(地下牢)風の石造りルームなど、部屋ごとに極めて精巧なテーマ設定が施されていました。単なる宿泊施設にとどまらず、性的マイノリティやフェティシズムを愛好する人々にとって、誰にも邪魔されず自己を表現できる「聖地・解放区」として機能していた歴史的背景があります。
写真家のアラーキーこと荒木経惟氏をはじめとする世界的アーティストの撮影現場としても重宝され、海外の映画監督やカルチャー誌の取材が幾度となく行われたことでも知られています。