高松を深く理解するには、悠久の歴史と自然が織りなす静寂にも触れねばならない。この讃岐の地は、平安初期の偉大な知性・空海の生誕地としても知られる。彼が治水のために改修したと伝わる満濃池をはじめ、四国の厳しい気候と共生してきた人々の精神的な土壌には、今も弘法大師の教えと祈りが深く染み渡っている。
その風土の美しさが極限まで凝縮された場所こそが、特別名勝 栗林公園である。紫雲山を借景に、6つの池と13の築山を巧みに配した回遊式大名庭園。「一歩一景」と称される通り、歩みを進めるごとに木々の陰影、水面に映る松の枝ぶり、飛び交う野鳥の姿がドラマチックに移り変わる。掬月亭の畳に座り、お抹茶をいただきながら眺める南湖の景色には、日々の喧騒を忘れさせる圧倒的な静寂が宿っている。