吉丸一昌の遺徳と足跡は、彼の故郷である九州と、名曲を生んだ信州の双方に色濃く残されています。
生誕の地である大分県臼杵市海辺には、生家跡の敷地に吉丸一昌 記念館(愛称「早春賦の館」)が整備されています。館内には、吉丸が愛用した机や直筆の草稿原稿、東京音楽学校時代の貴重な講義ノート、当時の『新作唱歌』初版本などが体系的に展示されています。地元保存会や教育関係者の熱心な活動により、地域の小学生が吉丸の作った唱歌を学ぶ特別授業が継続的に実施されており、地域アイデンティティの核として大切に守られています。
一方、長野県安曇野市穂高の穂高川堤防沿い(大糸線穂高駅からほど近いせせらぎの道)には、壮麗な吉丸一昌 歌碑(早春賦歌碑)が設置されています。碑の前にはソーラー式のオルゴールが設置されており、訪れた旅人がボタンを押すと北アルプスの山並みを背景に澄んだ『早春賦』の調べが響き渡る設計になっています。現地を訪れる観光客や音楽愛好家からは、「残雪の北アルプスと冷たい早春の風を浴びながらこの歌を聴くと、歌詞の真髄が五感で理解できる」という感動の声が絶えません。