札幌中島公園の成り立ちを紐解くと、1874(明治7)年に開設された木材の貯木場(鴨々川の引込池)に行き着きます。開拓使が札幌の街づくりを進める中で木材を集積した水域が、やがて遊歩地として整備され、1907(明治40)年に現在の「中島公園」へと改称されました。産業用のインフラから近代市民公園へと変貌を遂げた歴史的経緯こそが、水と緑が美しく調和する独特の景観を生み出した背景にあります。
園内最大の見どころである豊平館(ほうへいかん)の見どころと歴史は、北海道開拓の黎明期を今に伝える貴重な遺産です。1880(明治13)年に開拓使直営の洋風ホテルとして建築され、翌年には明治天皇の行幸先としても使用されました。白壁に映える鮮やかな群青色(ウルトラマリンブルー)の外観は、当時の最新技術と西洋建築様式を取り入れた格式高いデザインであり、1958年に現在の中島公園内へ移築後、国指定重要文化財に登録されています。館内の重厚な漆喰天井メダリオンや優美なシャンデリアは、当時の職人技の結晶です。
一方、日本庭園の一角に佇む八窓庵(はっそうあん)の公開日程と見学も見逃せません。江戸時代初期の大名茶人・小堀遠州が設計したと伝わる三畳台目の茶室で、近江国(滋賀県)から東京を経て、1919年に札幌へ移築された国指定重要文化財です。多窓式茶室の代表例として知られ、冬季の閉鎖期間(11月中旬〜4月中旬)を除き、例年4月下旬から11月上旬にかけて日本庭園とともに一般公開されています。北方の大地に息づく本格的な和の美意識は、洋風の豊平館と見事な対比を成しています。