湯口から絶え間なく溢れ出る露天風呂の湯温は、およそ32度。日本の一般的な温泉の感覚からすると、足を入れた瞬間に「冷たい」と感じるほどのぬる湯である。しかし、躊躇いながらも肩まで浸かって数分が経過すると、驚くべき変化が起きる。皮膚の表面全体がびっしりと炭酸の気泡で覆われ、体内からじわじわと温かさが湧き上がってくるのだ。
この特異な現象の正体は、日本屈指の含有量を誇る高濃度炭酸泉にある。水中に溶け込んだ炭酸ガスが皮膚から直接血管へと浸透し、毛細血管を劇的に拡張させて血流を促進する。心臓に余計な負担をかけることなく血行を劇的に改善するこのメカニズムこそ、長湯温泉が古くから「心臓の湯」として医学界や湯治客から崇められてきた最大の理由だ。
加温も加水も一切行わない正真正銘の源泉掛け流しだからこそ、炭酸ガスが空気中に散逸することなく、湧き立てのフレッシュな状態で肌へと届く。湯から上がった後もポカポカとした保温感が長時間持続し、肌は驚くほど滑らかになる。温泉の概念を根底から覆すフィジカルな快感がここには存在する。