「40年以上経った今でも、背後に誰かが立つと体が強張る」と語るのは、都内在住の50代女性だ。小学校中学年の頃、放課後の教室で複数人の男子生徒に囲まれ、スカートをまくり上げられたまま逃げ場を失った記憶が、今も鮮明に焼き付いているという。「男子たちは大声で笑い、近くにいた担任の男性教師も『元気があってよろしい』と苦笑いするだけだった。助けてくれる人は誰もいなかった」。
児童心理学の知見によれば、自己の身体に対する不可侵性が理不尽に破られた瞬間、子どもは強烈な無力感と自己否定感を刷り込まれる。羞恥心を周囲に晒されるトラウマは、成人後も対人恐怖や自己評価の低下として影を落とし続けるケースが少なくない。
一方、かつて加害側に回っていた元男子生徒たちの証言もまた、歪んだ集団心理の実態を告発している。「仲間内で目立つため、度胸試しのようなノリだった」「相手が本気で嫌がっているとは露ほども思わなかった」。集団の同調圧力と「お笑い」の空気感が、個々の罪悪感を完全に麻痺させていたのだ。