2026年現在、世界の音楽界は歴史的な転換期を迎えている。ストリーミングプラットフォームを通じて日本の劇伴音楽(Soundtrack)が全世界で数億回単位で再生される中、海外の主要ホールから熱烈なオファーが絶えないのが彼だ。かつてフィルムスコアリングがクラシック音楽の「応用」とみなされていた時代は過去のものとなった。いまや映像と音楽の対話は、21世紀における純粋音楽の主戦場だ。
彼が手がけるスコアの最大の特徴は、映像の従属物としてのバックグラウンドミュージックに留まらない点にある。画面に映し出される登場人物の葛藤、風景の陰影、言葉にならない感情の余白を、圧倒的な管弦楽法で補完する。聴き手は一小節を耳にしただけで、作品が抱く物語の深淵へと一気に引きずり込まれる。