工房やジュエリーショップに持ち込んだものの、「この指輪はサイズ変更ができません」と断られてショックを受けるユーザーは後を絶ちません。職人が作業を拒絶するのは技術不足だけではなく、物理的・構造的な制約が存在するためです。
断られる主な要因として、以下の4つのパターンが挙げられます。
1. 全周に石が配置された「フルエタニティリング」
リングの全周にダイヤモンドなどの宝石が留められているデザインは、地金を切断したり伸ばしたりするスペースがありません。無理に曲率を変えると石留めの爪が緩み、石落ちの原因となります。
2. ピンクゴールド(PG)や特殊硬質金属
ピンクゴールドは銅の含有率が高く非常に硬いため、加工時の熱処理や曲げ作業で「ひび割れ」を起こしやすい金属です。また、チタン、ジルコニウム、ステンレス、タングステンなどは融点が高すぎるか展延性がなく、一般的な宝飾加工設備では溶接できません。
3. 鍛造(たんぞう)製法のリング
金属を高圧で圧縮して密度を高める鍛造製法で作られた結婚指輪は、金属組織が極めて緻密です。一度切断してロー付け(溶接)を行うと、その部分だけ強度が著しく低下し、真円を保てなくなる恐れがあります。
4. 内側・外側の全周彫刻や特殊コーティング
ハワイアンジュエリーのように全周に連続した彫り模様がある場合や、内側にシークレットストーン・長文の刻印が隙間なく刻まれている場合、切断によってデザインや文字が途切れてしまいます。