2023年ブダペスト大会で初めて織田氏のいない中継が放送された際、SNSやネット掲示板では大規模な「織田ロス」が巻き起こりました。放送初日から「織田裕二がいないと世界陸上が始まった気がしない」「『All my treasures』が流れないとテンションが上がらない」といった声が数万件規模で投稿されたのです。
一方で、後任を務めた江藤愛アナウンサーや、元テニス選手の実績を持つ石井大裕アナウンサーの進行は、アナウンス技術の面でも競技情報の正確さの面でも極めて優秀でした。にもかかわらず、なぜ視聴者は物足りなさを感じたのでしょうか。
視聴者の声を分析すると、「テレビ中継を一緒に観戦してくれる熱い友人の不在」に対する寂しさが浮き彫りになります。完璧に整理されたニュース番組のような進行はストレスなく視聴できる反面、深夜に眠い目をこすりながらテレビにかじりつく視聴者の孤独感を埋めることはできませんでした。織田氏の叫びは、お茶の間と現地の熱狂をダイレクトに結ぶ強力な「感情の架け橋」だったのです。