ニキビの炎症が治まった後、通常であれば皮膚組織の修復に伴って赤みは徐々に薄れていきます。しかし、適切なケアを続けているにもかかわらず、1年近く同じ場所に赤みが居座り続けるケースが多発しています。日本皮膚科学会の臨床報告や専門医の知見を総合すると、そこには3つの決定的な体内現象が関わっています。
第1の理由は、真皮層における「毛細血管の異常な増生と拡張(毛細血管拡張症)」です。ニキビが強い炎症を起こした際、破壊された皮膚組織を修復するため、患部へ酸素と栄養を運ぼうと毛細血管が急激に新生されます。炎症が鎮静化した後も、一度拡張・増生した血管が収縮する力を失って皮膚の浅い層に留まり続けると、血液中のヘモグロビンが透けて見え、恒常的な赤みとして肌表面に現れ続けます。
第2の理由は、毛包の周囲で目に見えないレベルの「不顕性炎症(慢性微小炎症)」が燻り続けている点です。肌表面の痛みや隆起がなくなっても、真皮レベルでは免疫細胞がサイトカインを放出し続けており、血管が持続的に刺激を受けて拡張状態を解かれません。
第3の理由は、良かれと思って行った自己流ケアによる「角層の菲薄化(ビニール肌化)」です。赤みを消そうと過度なピーリングや強い洗顔を繰り返した結果、表皮が極端に薄くなり、真皮の毛細血管がよりダイレクトに透けて見えてしまう悪循環に陥っているケースが後を絶ちません。
通常の軽度な炎症後紅斑であれば、ニキビ跡の赤みが消えるまでの期間は3か月から半年程度が目安ですが、毛細血管の器質的な拡張に移行してしまった場合、セルフケアのみでの自然治癒には数年単位の時間を要するか、完全に消退しないケースも珍しくありません。