終電を逃すという出来事は、時に人生の予期せぬ転機を引き寄せる。その象徴的な事例として語り継がれているのが、脚本家・坂元裕二が手掛け、菅田将暉と有村架純がダブル主演を務めた大ヒット恋愛・ドラマ映画『花束みたいな恋をした』だ。
物語のすべては、京王線の明大前駅で主人公たちが終電を逃したあの夜から始まった。居酒屋や深夜営業のカフェで夜を明かす中で、ふたりは音楽や文学の趣味が奇跡的なほど一致していることに気づく。もしあの時、ふたりがスムーズに終電に乗って帰っていたら、あの切なくも美しい恋物語は生まれていなかっただろう。映画ファンにとって明大前駅周辺は今なお特別なロケ地であり、深夜の街を歩く人々にとって「終電を逃すこと」は単なる不運ではなく、ドラマチックな物語のプロローグになり得ることを提示してくれた。