世界に衝撃を与えたあの異様な朦朧状態は、なぜ引き起こされたのでしょうか。公式な釈明会見において中川氏は、「前夜からの体調不良により、風邪薬を通常の用量を超えて多量に服用していた」「直前の昼食会でワインをグラスに一口含んだ程度で、泥酔するほど飲酒した事実はない」と一貫して主張しました。当時、この弁明は激しい批判の中で「見苦しい言い訳」と一蹴されましたが、臨床薬理学および医療関係者の間では、その危険な複合作用が現実的な原因として指摘されています。
中川氏が服用していたとされる風邪薬には、強い抗ヒスタミン作用や中枢神経抑制作用を持つ成分が含まれていたとされます。東京からローマへの長距離フライトに伴う深刻な時差ボケ、リーマンショック対応で連日睡眠時間が2〜3時間に削られていた極度の過労、そして激しいストレス下にある肉体に、中枢神経抑制薬とアルコールが同時に取り込まれた場合、アルコールが代謝酵素を競合阻害し、薬の血中濃度が急激に跳ね上がることがあります。その結果、本人の自覚とは裏腹に、泥酔状態と酷似した意識障害やせん妄状態(いわゆる健忘・朦朧状態)を突発的に発症するリスクは極めて高いと分析されます。
さらに注目されたのが、会見直前の昼食会における同席者の存在です。財務省の玉木林太郎国際局長(当時)や、読売新聞経済部の記者であった越前谷知子氏、日本経済新聞の記者らが同席していたレストランでの飲食状況が後にクローズアップされました。関係者の証言によれば、同席者らとの会食で中川氏がワインを嗜んだ事実は確認されているものの、周囲が泥酔と判断して即座に制止するほどの量ではなかったとも伝えられています。会食を終え、会見場へ移動するわずかな時間の中で薬理作用が急激に回り、着席した瞬間にリミッターが外れるように意識の混濁が表面化したというのが、客観的な医学的・状況的検証から浮かび上がる真相の輪郭です。