ここまで世間を騒がせる2人であれば、「映画やドラマで兄弟役をやってほしい」「双子役でサスペンスを演じてほしい」と望む声が上がるのは当然の流れです。しかし、驚くべきことに過去の本格的な映像作品での共演歴はほぼ皆無に等しいのが現状です。
一部のネットユーザーの間では「激似すぎるあまり共演NGが出ているのではないか」という穿った見方すら囁かれました。しかし、エンタメ業界のキャスティング構造を紐解くと、共演が実現しない理由はネガティブな確執などではなく、極めて現実的なプロデュース戦略にあります。
第一の理由は、「画面内の情報過多と視聴者の混乱リスク」です。映画や連続ドラマにおいて、主役級の俳優が酷似した顔立ちで並ぶと、ストーリーの文脈よりも「どっちがどっちか」に視聴者の意識が奪われてしまいます。制作陣としては作品世界への没入感を担保するため、あえて同じフレームに収めることを避けてきた経緯があります。
第二の理由は、「所属事務所の違いと両者のキャリア戦略」です。福士蒼汰が所属する研音は、唐沢寿明や反町隆史を筆頭とする硬派かつスタイリッシュなスター俳優を輩出してきた名門であり、近年は語学力を活かした海外ドラマ進出や骨太なアクション作品へ注力しています。対して、中川大志が所属するスターダストプロモーションは、山田孝之や窪田正孝のようにカメレオン俳優として泥臭い役から大河ドラマの重厚な武将、本格ミュージカルまで幅広く挑ませる育成方針を取っています。
象徴的だったのが2019年秋クールです。TBS系で火曜ドラマ『G線上のあなたと私』に中川大志が出演し、同じTBSの金曜ドラマ『4分間のマリーゴールド』で福士蒼汰が主演を務めました。「週に2回、同じようなイケメンがTBSの恋愛ドラマに出ている」と視聴者がパニックになった現象は、ライバル関係にある2人が同じ放送枠を席巻した希有な実例として業界内で語り草となっています。