今注目を集めている 中村キース・ヘリング美術館の全貌|八ヶ岳が誇る奇跡の空間を徹底解説について、主要な情報を整理して公開しています。

地下鉄の空き広告板にチョークで素描した「サブウェイ・ドローイング」から彗星のごとく現れ、31歳という若さで夭折したキース・ヘリング。彼のエネルギーを凝縮した拠点が、ニューヨークでも東京でもなく、なぜ八ヶ岳・小淵沢にあるのかという疑問を抱く方は少なくありません。

その背景には、医薬品開発支援(CRO)大手シミックグループの創業者である中村和男氏の情熱があります。1987年、ニューヨークのストリートで出会ったヘリングの作品に衝撃を受けた中村氏は、個人的な情熱から収集を開始しました。冷戦下の核戦争の危機、アパルトヘイト(人種隔離政策)、そして自らも命を落とすことになったエイズ危機と向き合い、アートを通じて社会変革を訴え続けたヘリングの生き様に共鳴した結果です。

2007年の開館以来、同館は「混乱から希望へ」という普遍的なテーマを掲げています。生命の輝きを象徴する《ラディアント・ベイビー》や《吠える犬》などの代表的なイコンをはじめ、大型彫刻、ドローイング、版画、さらには活動後期の重厚な作品群までを網羅。白壁のホワイトキューブに絵画を整然と並べる従来の美術館とは一線を画し、森の静けさと作品の放つ力強さが鑑賞者の内面に直接問いかけてきます。