物語の冒頭から「正しい死」とは何かを問い続けてきた虎杖悠仁。祖父の遺言に縛られ、自らの内に宿る宿儺という巨大な悪と対峙し続けた彼が、最終話で辿り着いた境界線はあまりにも泥臭く、そして気高かった。
幾多の仲間を奪われ、精神の限界を超えた極限状態を幾度も潜り抜けながらも、虎杖は他者の生命と尊厳を否定しなかった。彼の放った意思と選択は、暴力を暴力でねじ伏せるだけの決着ではなく、不完全な人間性をそのまま抱え込んで生きていくという救いそのもの。戦いを終えた虎杖が見せた穏やかな表情にこそ、著者が描こうとした人間賛歌の神髄が結実している。