子どもが巧技台で遊ぶ様子を観察すると、一見単純な「登る・渡る・滑る・降りる」という一連の動作のなかに、高度な運動要素が詰まっていることに気づく。傾斜のついた梯子を登る際、子どもは自分の重心をどこに置くべきか無意識に計算し、両手両足を連動させる。ここで効果的に鍛えられるのが、体の中心を支える「体幹」と、自分の体と周囲の対象物との距離感や高低差を察知する「空間把握能力」だ。
スポーツ運動学の権威として知られる金子明友氏の運動理論においても、身体の協調性や感覚統合は、多様な運動課題に挑む試行錯誤のなかで洗練されると説明される。高さを感じながら一本橋を渡るときの緊張感や、降りるときの着地衝撃に対応する筋出力の調整。これらはデジタル画面の操作では決して得られない、生きた身体感覚そのものである。また、公益財団法人日本スポーツ協会が推進する「アクティブ・チャイルド・プログラム(ACP)」が提唱する「楽しく体を動かす基本動作の獲得」においても、組み立て方次第で数十通りのコースを作り出せる巧技台の有用性は高く評価されている。