「なぜ自民党内の総裁選が終わると、その勝者が当たり前のように総理大臣になるのか」というプロセスに疑問を覚える読者は少なくありません。ここには日本の議院内閣制における憲法上の手続きが介在しています。
日本国憲法第67条第1項には、「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する」と明記されています。これが「内閣総理大臣指名選挙(首班指名選挙)」です。
自民党総裁選で勝利した人物が総理大臣になるのは、自動的な法手続ではなく、以下の力学が働くからです。
- 国会(衆議院・参議院)において、自民党が単独または連立与党を組むことで議席の過半数を確保している。
- 与党所属の議員たちは、党議拘束により「自党の代表(=総裁)」に一票を投じる。
- その結果、首相指名選挙で確実に過半数の票を獲得し、新総理に指名される。
つまり、総裁選は「事実上の総理を決める予備選挙」として機能しているに過ぎず、法的には国会での指名選挙と皇居での「親任式」を経て初めて正式な内閣総理大臣が誕生します。与党党首と首相の兼任は、立法府の過半数の信任を背景に行政府を動かすという議院内閣制の基本構造が生み出した必然的な帰結です。