「総理」と「総裁」の違いを一言で言い表すなら、「国全体のリーダー」か「チーム(政党)のリーダー」かという所属の違いに尽きます。
まず「総理」とは、正式名称を内閣総理大臣(英語表記:Prime Minister)といい、日本国憲法に基づき内閣の長として行政権を行使する、日本という国家の最高責任者です。国旗を背負って各国の首脳と外交交渉を行ったり、閣議を開いて国の政策方針を決定したり、自衛隊の最高指揮権を持ったりするのは、すべて「内閣総理大臣(総理)」としての仕事です。なお、マスコミが日常的に使う「首相」という言葉は、内閣総理大臣を親しみやすく呼ぶ通称であり、法的な正式名称はあくまで内閣総理大臣です。
これに対して「総裁」とは、政党である自由民主党(自民党)の最高責任者を指す呼称です。学校に例えるなら、総理が「全校生徒を束ねる生徒会長(あるいは校長)」だとすれば、自民党総裁は「校内で最大の部員数を誇る野球部のキャプテン」のような立ち位置です。自民党という特定の政治結社の中におけるトップであるため、その影響力は原則として自民党の組織内に向いています。
海外メディアでは日本の内閣総理大臣を一律に「Prime Minister」と報じますが、自民党総裁として発言している場では「Leader of the LDP(自民党党首)」と明確に区別して報じられます。日本のニュースで「〇〇総理」と呼ぶときは国を代表する公の立場を報じており、「〇〇総裁」と呼ぶときは自民党内の人事や選挙対策を指揮する党首としての動きを報じているのです。