伝統の味を一切変えない一方で、福砂屋は時代に合わせたパッケージイノベーションにも積極的だ。その象徴が、手のひらサイズのカラフルな小箱に二切れのカステラを収めた「フクサヤキューブ」である。折りたたみ式の簡易フォークが内蔵され、外出先やオフィスでも手を汚さずに本格的な味わいを楽しめるこのスタイルは、若年層や単身世帯の心を瞬く間に掴んだ。
近年では、日本の四季折々の風情を表現した季節限定パッケージや、地域限定のデザインキューブが精力的にリリースされている。伝統芸能や現代アートとのコラボレーションによる限定仕様も登場し、コレクターズアイテムとしての価値も帯び始めた。重厚な木箱入りの高級贈答品という枠組みを守りつつ、日常の気軽なプチギフトへと間口を広げた戦略は見事というほかない。