葛飾北斎が80歳を超えて辿り着いた「狂気」の正体——現代のデジタルアート狂乱期に私たちが「画狂老人卍」から学ぶべき、表現者としての執念の基本情報から最新動向までを徹底的にカバーしました。

偉大な巨匠という重々しいイメージの裏で、北斎の私生活は破天荒そのものだった。生涯で93回も引っ越しを繰り返し、部屋がゴミや描き損じの紙で溢れかえると、片付けるのが面倒で次の家に引っ越したというエピソードは有名だ。

食生活にも関心がなく、近所の出前を頼んでは器を部屋の隅に積み上げていた。金銭感覚も壊れており、絵の謝礼として届いた紙包みを開けもせず、集金に来た業者にそのまま手渡していたという。衣食住の全てを捨て、ただ「描くこと」だけにエネルギーを注ぎ込んだ生き様。その常軌を逸したライフスタイルは、タイパやコスパを重視しがちな現代社会において、どこか愛おしく、同時に恐ろしいほどの憧れを抱かせる。