「蓼丸」という名字は、日本全国を探しても極めて珍しい。名字研究家の調査や各種データベースによれば、全国でこの姓を名乗る世帯はわずか数世帯、人数にして10人から数十人程度と推定されている。その発祥地とされているのが、彼女の出身地でもある広島県広島市安佐南区周辺だ。
語源を紐解くと、極めて興味深い情景が浮かび上がる。「蓼(たで)」は「蓼食う虫も好き好き」という諺でも知られるタデ科の植物であり、古くから水辺や湿地に自生してきた。「丸」は城郭の曲輪(くるわ)や、特定の一画に区切られた土地、あるいは愛称としての接尾語を指すことが多い。つまり、蓼が群生する肥沃な水辺を開墾し、地域社会を築き上げた先祖の営みが、この名字の始まりだったと考えられる。歴史の波に埋もれることなく、広島の一角で大切に受け継がれてきた血脈の証。それが「蓼丸綾」という名なのだ。