当時の綾野剛を知る関係者は、彼を「静かなる熱量を持った少年」と振り返る。放課後、誰もいなくなったグラウンドで独り、影が伸びきるまでタイムを縮める練習を重ねていた。周囲と必要以上につるむことなく、ただ自分の限界と対話し続ける姿は、中学生離れした凄みを纏っていたという。
「とにかく負けず嫌いだった。走ることに関して、自分にごまかしを絶対に許さなかった」とは当時の部活顧問の証言だ。勝負に対する常軌を逸した集中力と、時折見せる無邪気な笑顔のギャップ。現在も語り継がれる彼の素顔は、すでにこの頃から完成しつつあった。