静止軌道(GEO)は、地上約3万6000キロメートル上空に広がる宇宙の超一等地だ。自転と同期して周回するため、地上アンテナの向きを固定したまま巨大なデータを往復させられる。通信、放送、軍事偵察、気象観測——現代社会の神経網がここに集中している。
従来の「長征3号B」が保持していたGTO投入能力は約5.5トンだった。しかし、この改良型の登場により、その上限は一気に7トンへと跳ね上がった。この「1.5トンの余裕」が意味するものは大きい。複数の高機能センサーを積み込んだ超大型複合衛星や、大型展開アンテナを持つ防衛衛星を、軌道修正用の燃料をたっぷり残した状態で目的の高度へ一発で送り込めるからだ。