この巨大なトレンドを裏で牽引しているのが、業界のトップランナーだ。ファーストリテイリングが展開するユニクロのTシャツブランド「UT」は、Tシャツを単なる消耗品から「着るメディア」へと昇華させた。世界中のアートやPOPカルチャーを貪欲に取り込み、低価格でありながら高感度なラインナップを毎月のように投入する手腕は圧巻と言うほかない。
アパレル産業全体が見つめるのは、消費者の所有欲を満たす新たな付加価値だ。UTの成功は、性別の境界線をなくしたジェンダーレスなカッティングと、誰もが手に取りやすい価格設定の融合にある。男性がウィメンズのLサイズを着用し、女性がメンズのSサイズを選ぶといった自由な購買行動が一般的になり、カップル間での着回しや共有が購買の強力な動機となっている。
製造流通の高速化により、トレンドの寿命はかつてないほど短くなった。しかし、UTのように確固たるテーマ性を備えたTシャツは、使い捨てにされない普遍的な価値を保持し続けている。服を買う行為そのものが、現代のパートナーシップを再確認する体験へと変化しているのだ。