焼肉店で提供されるセンマイには、グレーがかった黒い一般的なものと、真っ白に洗練された「白センマイ」が存在する。あの透き通るような白色は、元からそういう種類の肉が存在するわけではなく、職人が手作業で黒い表皮を根気よく剥ぎ取った成果だ。
この皮剥き工程で最も重要となるのが、お湯の温度管理である。60度から65度前後のお湯に数秒間サッと潜らせることで、表皮のタンパク質が適度に凝固し、指や布巾でこすり落とせる状態になる。70度を超えてしまうと肉全体に火が通ってしまい、センマイ特有のコリコリとした歯ごたえが失われて固くなってしまう。逆に温度が低すぎれば皮は絶対に剥がれない。この絶妙な温度を見極めることこそが、高級店が誇る白センマイ作りの秘訣であり、見た目の美しさと極上の食感を両立させる仕込みの到達点と言える。