「ドラムの声を誰が演じるのか」――放映当時、SNS上で巻き起こった予想合戦を覚えているだろうか。その正体が声優界の巨星、林原めぐみだと明かされた瞬間の衝撃は今も語り草だ。女性の声で再生される人工音声と、無骨で可愛らしいドラムのビジュアル。この対比が強烈な化学反応を引き起こした。
演出を手掛けた福澤克雄監督の狙いは見事に当たった。林原のクリアで少し無機質なアナウンス風ボイスが、緊迫した逃走劇にシュールな笑いとテンポ感を与える。スマホ端末から流れる「野崎さん、怪しいです」「ご安心ください」といったフレーズは、視聴者の間で日常会話として流行するほどの現象となった。音響チームの緻密な編集作業によって、絶妙な間とニュアンスが生み出されていたという。