彼が手にする名器が放つ独特の木質的な温もり。そこに容赦なく注ぎ込まれる現代最高峰の録音技術とイコライジング。一見すると相反する二つの要素が、絶妙な均衡を保ちながら一つの作品へと昇華していく。そのプロセスの裏には、狂気とも言える音質への執着が存在する。
スタジオワークにおける音粒の厳選作業は、深夜に及ぶことも珍しくない。マイクの配置角度数ミリの差異、部屋の温度変化による弦のテンションの変化。あらゆる変数をコントロール下に置きながら、生々しい人間の息遣いだけは絶対に殺さない。この徹底した職人肌の仕事ぶりが、オーディオマニアからも絶大な信頼を獲得している理由だ。